透明水彩の白を研究する
- 2020/03/07 20:40
透明水彩ユーザーの皆様なら、必ず聞いたことある言葉…
「透明水彩では白い絵具は使わず、紙の白を活かして描きましょう」
しかし、水彩絵具をセットで買うとしょっちゅう「白」が付いてきます。
セオリー通りなら使わないのに何故?
ということで、今回は透明水彩における「白」を研究してみようと思います!
使用したのはクサカベ透明水彩の「チャイニーズホワイト」です。
ここで、水彩や顔料にお詳しい方なら待ったが入ると思います。
そう、クサカベさんやホルベインさんのチャイニーズホワイトは名前こそチャイニーズホワイトですが
使っている顔料が「PW4」ではなく「PW6」なんですね。
修正液代わりに使うなら隠ぺい力が強いPW6でいいのですが、混色に使うなら透明度の高いPW4が勧められています。
私も最初、ウィンザーアンドニュートンさんのチャイニーズホワイトを購入する予定でした。
しかし、W&Nさんの絵具チューブを手に取って裏をみたら、お魚が死んでしまっている絵が描かれていたんですね。
つまり毒性アリということ。
水生生物飼いとして、この絵を見たらちょっとやっぱり使えないです。。
(個人が適量使って水道に流す程度でしたら環境への影響はほぼ無いとは思いますので、使いたい方は是非使ってください)
検証に使った紙はヴィフアール細目です。
グラデーションとにじみやすさの比較
左は水のみでグラデーションやにじみをかけました。
右は白を溶いたものでやりました。
…違いが分かりづらいですね!!!
強いて言えば、白を使った方が
- 水よりも広がりが少ない
- 若干カリフラワーになりづらい
- 光に当てたら若干紙の黄味が抑えられている
正直、これだけなら白を使う理由は殆ど無いと思います。
でも、このまま検証を終わらせたくないので、更に調査をしてみましょう。
絵具に白を混ぜて塗ってみた
左は白一切使わず、右は白を混ぜて塗りました。
※エッジやムラが出来たり出来てなかったりするのはただの技術不足です!
まず当たり前ですが、グラデが濃くなりすぎません。
そして全体的に明度そのままで彩度が低めにまとまっています。
パステルカラーの表現にはもっていこいですね。
面白いと思ったのは、紙の黄味が抑えられ、水のみで塗ったものと比較して青みが掛かっているように感じられるんですね。
また、生で見ると白に近い色がとても冴えた感じになりました。
そして、お花の中央に塗った黄色が不透明なので、水のみの場合と比べて全く違う重なり方をしました。
いらないと思われてきた白ですが、使い方次第ではなかなか面白いんじゃないでしょうか!
結論
私の塗りはあまり水彩的なにじみは求めていないので、むしろ白を混ぜた方がグラデが滑らかになっていいなと思いました。
それなら「透明」水彩でやる必要なくね?と言われてしまいそうですが(笑)影色なんかは透明度が高い方が重ねやすいので、
下塗り→白を混ぜる、影→混ぜない
で理想に近づけるのではないかと考えたんです。
実際に白を使って塗った絵はこちら↓↓
誰にも使えない色だったら、そもそもこの世に存在しないはずですもんね。
コミックイラストを描かれる方なら、一度白絵具を試していただきたいものです。
思わぬ発見があるかもしれないので!